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 2020年以降、大企業はe‐Taxなどを利用した電子申告が義務化されます。大企業は中小企業に比べて、自社独自の経理システムを導入していることが多く、電子申告との互換性を想定していないために、最終的には紙による申告を選択する企業が多いのが現状です。

 中小に比べてもe‐Tax利用率の低い大企業に電子申告を義務付けることで、国は税務申告の電子化を一気に推し進めたい狙いです。

 あくまでも今回の義務化は大企業を対象としていますが、中小にとっても他人事ではありません。

 財務省が作成した行政コスト削減に向けた計画書では、中小企業について「将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提として」とあり、e‐Tax利用率を高めていく方針を示しています。既に8割近くの中小は電子申告を利用していることもあり、電子申告の義務化の対象が拡大される日はさほど遠くはないかもしれません。

 大企業に向けた電子申告の義務化を盛り込んだ税制改正大綱によりますと、正当な理由なく紙で申告した場合には「無申告として取り扱う」とされています。

 無申告ということは、当然加算税が課され、電子申告を行うまでは追徴課税が増え続けるということになります。

 こういった紙申告への罰則ともとれる見直しは、18年度税制改正に盛り込まれています。

 18年度改正では、自営業者や個人事業主が税務申告の際に電子申告を使えば、青色申告者に認められる「青色申告特別控除」の控除枠を10万円上乗せするという見直しが盛り込まれております。大企業への義務化と同じ20年から導入されます。

 これだけなら10万円の控除枠は電子申告した人に対するボーナスとなりますが、さらなる見直しとして、青色申告特別控除を一律10万円引き下げることとあれば話は違ってきます。つまり20年以降は、控除額が現行の65万円から55万円に引き下げられ、その上で、電子申告をした人には従来通りの65万円を控除できるということになります。

 実質的には、紙で申告し続ける人に対する10万円のペナルティということになります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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