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 政府は行政システムのデジタル化の一環として、印紙税の見直しに乗り出しました。 印紙税はこれまでも、紙の契約書に課税される一方で、同じ内容でも電子契約書には課税されないなど、税の公平性の観点からも見直しを求める声がありました。

 河野太郎規制改革担当相の直轄チームはこのほど、国に納付する各種の税や保険料の手続について各省庁への実態調査を始めました。そのなかで収入印紙について、印紙を使っている理由や、印紙による納付を廃止した場合の支障などについて回答を求めています。急速に進んだ「脱ハンコ」の動きと同様に、次は紙の収入印紙が見直しの対象となるのは確実な様相です。自民党・公明党は、2020年度税制改正大綱の中で、建設関連では、工事請負契約書と不動産譲渡契約書の印紙税に対する特例措置の延長が認められ、2022年3月末まで現行の税率軽減措置を継続することが決まっております。

また公明党の西田実仁税制調査会長は産経新聞の取材に対して、印紙税について、「旧態依然で今の時代に即していない」などとして抜本的に見直す考えを明らかにしています。

ただし印紙税が全面的に廃止される可能性は低いでしょう。国は印紙税から約3千億円の税収を得ていて、西田氏もそこに触れたうえで、「単純に廃止はしない。デジタル時代の印紙税がどうあるべきかを議論する」と述べ、新たな課税方式への転換を示唆しました。紙の収入印紙が廃止される一方で、現在では非課税となっている電子契約書に「デジタル印紙税」が課される方向で議論が進むことも十分に考えられます。すでにビジネス文書のデジタル化を進めている企業にとっては単なる増税となる可能性もありそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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