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  家族の誰かが入院することになったとき、夫婦共働きの家庭であれば、24時間の付き添いが難しいので、病院での世話のために家政婦さんを雇って介護を依頼することがあります。このようなときに家政婦に支払った費用は、医療費控除の対象になるのでしょうか?

 税法では、医療費控除の対象となる医療費とは、医師による診療・治療の対価の他に、「保健師、看護師、准看護師による療養上の世話の対価」として支払った費用も含まれます。ここでいう保健師、看護師、准看護師とは保健師助産師看護師法で規定されるものですが、さらに「これに準ずる人」も加えられていて、「療養上の世話を受けるために特に依頼したもの」から受ける世話への対価も含まれています。つまり、療養上の世話のため家政婦さんに支払った費用は、全額が医療費控除の対象となります。また家政婦紹介所に支払う紹介手数料も控除対象となります。

 ちなみに家政婦(家事使用人)は、れっきとした労働者であるにもかかわらず、経営者の同居親族と同様に、労働基準法の適用外となっています。つまり雇用される「労働者」ではないため、労災や雇用保険の被保険者にはなれません。これは、かつて「女中」と呼ばれた人々のほとんどが住み込みで働き、家族扱いされてきたという事情があるようですが、今となっては時代遅れです。

 昨年3月には、週6日働いて急性心筋梗塞のため亡くなった訪問介護ヘルパーの女性の遺族が、国を相手に労災認定を求めて裁判を起こしております。

 ただし家政婦紹介所から紹介してもらった家政婦については、その紹介所に雇用される労働者として扱われます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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