第1250話 相続税の税務調査
秋の税務調査シーズンが始まりました。相続税は、申告件数に対して実地調査に至る割合がほかの税目に対して高く、追徴課税額も大きい傾向があります。準備不足が思わぬ税負担の増加につながる可能性を踏まえ、相続税の税務調査の特徴、実際に行われる調査の流れ、具体的な対策を押さえておいてください。
一般的に相続税の税務調査は、相続発生後3年以内にやってきます。とはいえ、税の時効は原則5年であるため、相続発生後4~5年目に調査の連絡がくる可能性もゼロではありません。
また相続税の調査がやってくるのは、他の税目と同様に秋が多くなります。8月~11月に日程調整の連絡がきて、諸々の事前のやり取りを経て、遅くとも年内には調査が実施されます。つまり、今はもう相続税調査のシーズンに入っているということです。
実際の相続税調査の進め方をみていくと、税務署はまず、調査先を選定するために申告書を入念にチェックします。ある程度絞り込むと、被相続人と相続人の所得税の確定申告書、会社経営者なら法人税の確定申告書、財産債務の明細書、金融機関の取引記録などを用いた机上調査に移ります。この調査で実地調査を決めたら、日程調整のために納税者や顧問税理士に電話をします。調査当日に訪れるのは二人一組の調査官です。その肩書は、「統括官」や「上席」、単なる「調査官」や「事務官」など様々です。
臨席するのが統括官である場合、上席調査官や単なる税務調査官より強い決定権を持っているため、〝交渉〟すると話が進みやすい傾向があります。
午前10時からスタートし、昼食を挟んで午後5時に終了するのが一般的です。
調査官は相続人らに挨拶をした後、まずは〝世間話〟から話をしてきます。実はその世間話が調査の一環であることは、税理士なら皆さんご存知でしょう。
故人の生前の趣味や友人関係、家族の生活スタイル、親族の力関係などを世間話でさりげなく把握します。
調査の最大の目的は課税漏れ財産の把握にあります。そのため、トイレを借りるタイミングにも、調査官は邸内をさりげなく観察します。高額な壷や絵画があれば財産に関する明細書と突き合わせ、額を掛けていた形跡があれば隠蔽を疑います。
また、株券や印鑑、預金通帳などの保管場所を尋ね、タンスや金庫などであればその場で親族に開けてもらい、中身を確認します。葬式の芳名帳や香典帳、年賀状、アドレス帳、日記帳、パソコンの記録に至るまでチェックすることも珍しくなく、取引がないはずの金融機関の人の名前が会葬者名簿に入っていれば、鋭い質問が飛びます。
調査官の専門用語でもある「特殊関係人」についても確認します。特殊関係人とは、愛人のことで、当局としては故人の財産の流れをつかむうえで避けられないテーマです。愛人の生活費の面倒を見ていたり、名義預金を作っていたり、高額なプレゼントが続いていたりすれば、税務調査で刺されてしまうことは、想像に難くありません。
相続税の税務調査が入った場合、高い確率で申告漏れが指摘されます。国税庁によりますと、令和5事業年度に実施された税務調査の実に84.2%が、申告漏れなどの非違割合を示しています。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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