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 名古屋国税局は、1月19日付で、男性から現金をだまし取った罪に問われている「頂き女子りりちゃん」こと住所不定、無職の渡辺真衣被告(25)を所得税約4000万円を脱税した所得税法違反の疑いで、名古屋地検に刑事告発しました。渡辺被告はこれまで、恋愛感情を利用して男性から現金をだまし取った罪や、恋愛詐欺のマニュアルを販売して詐欺を手助けしたなどの罪で、4回起訴されています。

 名古屋国税局によれば、同被告は男性から詐欺した約1億1000万円を、2021年と22年の所得として確定申告せず、所得税を脱税した疑いです。国税局は昨年11月に査察調査に入り、調査していました。納税を免れた資金は、ホストクラブなどの遊興費に充てられて残っていないといわれています。

 同被告は、金銭を対価に男性と食事などを行う「パパ活」を行い、相手に恋愛関係を抱かせた上で、困窮を訴えて金銭を振り込ませていました。また自身を「頂き女子」と自称し、男性にお金を振り込ませるための手法を解説したマニュアルを販売して約2000万円を売り上げていました。そして同被告に名古屋地裁は今月22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡しました。求刑は懲役13年、罰金1200万円。

 ここで気になるのが、逮捕されて刑が確定し、刑務所に収監されるとなった後のりりちゃんの今後です。脱税された4000万円はどうなるのでしょうか?

 まず、ホストクラブにほとんど費やしてしまったとなると財産差し押さえによる徴収は難しいでしょう。このような滞納処分の執行などをすることができる財産がないときには、国税徴収法153条による「滞納処分の停止」が適用されます。そして、この停止が3年間継続したときには、税金の支払義務は消滅します(同条4項)。さらに、状況次第では3年経過することなく、税金の支払義務がなくなることがあります(同条5項)。この状況とは異なりますが、たとえば、3年間生活保護を受給し続けたときには、税金の支払義務が免除されることになります。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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