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将来の相続を見据えて息子に不動産を贈与したとします。しかし贈与後に改めて再計算したところ、勘違いがあって贈与税額が結構な額にのぼることが判明しました。できれば贈与をなかったことにしたいのですが、今から名義を自分に戻しても、再贈与があったとして余計に税金がかかってしまうのではないか?と考える方も多くみられます。

 確かに贈与税のルールでは、原則として一度あった贈与は取り消せず、たとえ後から名義を戻したところで税金が帳消しになることはありません。ただし人間には勘違いも付きものです。すべてのケースに贈与税を課すのは酷だということで、例外的に贈与を取り消すための条件が設けられています。本当に勘違いによる贈与かどうかを判定するのは難しいので、形式的な要件を満たすことで、一律に取り消しを認めています。

 国税庁は以下の4つの要件を全て満たす必要があるとしています。

 

①贈与を取り消すための名義変更などの手続きが贈与税の期限(翌年3月15日)までに行われている

②受贈者によって贈与財産が処分されたり担保目的に利用されたりしていない

③贈与された財産として所得税などの税務申告や届出などがされていない

④受贈者がその不動産から家賃や地代などを受け取ったとしても贈与者に返還している

 

ポイントとしては、翌年3月15日までに贈与の取り消しを実行するという点で、裏を返せば3月15日を過ぎてしまえば贈与の取り消しは難しいということです。

ここで注意していただきたいのは、たとえ贈与の取り消しが認められたとしても、一度納めた登録免許税や不動産取得税は返ってこないということです。贈与の取り消しがあったとしても、一度は所有権が移転していることに変わりがないからだそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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