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 政治資金規正法は、政治家個人のほかに政治団体を巡る資金の流れを規制する法律です。政治団体は

 

①政党や政党支部

②政党の企業・団体献金の受け皿になる「政治資金団体」

③「その他の政治団体」(派閥や後援会、政治家が個人献金を受け取る窓口となる資金管理団体など)

 

の3つに大別できます。なぜこんなに多数の政治団体があるのでしょうか。

 政治家が複数の政治団体を介して資金を受けるので、政治資金収支報告書をみても政治家の資金の出し入れを把握するのは難しくなります。しかもそれぞれについて規制が異なり、まさに抜け穴だらけで大穴が空いた法律です。

 今回のパーティー券の問題も、③「その他の政治団体」での収入面において、購入者の公開基準が20万円超や外国人の購入も可能になるなど、寄付の5万円超や外国人購入不可に比較して抜け穴になっていることが背景にあります。いずれにしても資金の流れを透明化するための政治団体について、政党と政治家個人の2つに絞り全て一律に規制する必要があります。

 また政治資金規正法は、会計責任者を設けて政治家に責任が行かないような仕組みになっています。民間企業では有価証券報告書の虚偽記載は間違いなく社長の責任になりますが、政治では秘書がやったという言い訳が通用してしまいます。そんな言い訳を許さないためには、連座制や会計責任者は政治家に限る旨の法改正が必要でしょう。

 さらに政治資金が原則非課税というルールにも風当たりは強くなっています。非課税扱いなのは活動が営利目的ではなく公益目的とされることが背景にありますが、政治家が特権を持っているのは好ましいことではありませんので原則課税にすべきと考えます。

 特に裏金の指摘を受けた政治家がこぞって政治資金収支報告書の修正に走り、修正すれば政治資金となって非課税というのは国民常識に合いません。政治資金を原則課税にすれば、資金使途で領収書が必要になり、透明性が増します。

 政治家がどこまで自らを律することができるのか、国民はよく見ています。身を切ることが本当にできるのか。そうした政治改革を各党ともに競ってもらいたいものです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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