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資産家の悩み事といえば、いつの時代も相続です。遺産分割、事業承継とトラブルの種はいくらでもあるにもかかわらず、その税務処理を巡って国税当局とまでトラブルになってはたまりません。そこで、国税不服審判所が公表している裁決事例を抜粋してみましたので、相続対策の一考としてみてください。

 

自宅の庭園設備について、評価通達92<附属設備等の評価>(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例

 

請求人は、被相続人の自宅庭園について、個人宅の庭であり、その立地条件等からして本件庭園設備を一体として売却できず、また立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取価額は低額である上、実際に買い手が見つからないことから交換価値がなく、財産評価基本到達(評価通達)は適用されない旨主張する。

しかしながら評価通達92<附属設備等の評価>(3)(本件通達)は、「庭園設備」について家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。また本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、経済的価値が認められているものである。よって本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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