第1097話 究極の節税策?
全国各地の有名デパートでは「大黄金展」などと題する催事が頻繁に開かれています。仏壇や仏具は相続時に課税対象外の財産とされるため「金の仏具を買うと相続税を節税」できるからです。
国税庁のサイトでは「相続税がかからない財産」として「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」と説明しています。美術品や骨董品としてではなく、あくまでも日常的な礼拝の際に使用しているものは「祭祀財産」となります。つまり、仏壇に置いてチーンと鳴らすあの「お鈴」にも相続税がかからないことになります。
一つ例を取ってみましょう。1929年創業の老舗「お仏壇のはせがわ」が通常販売している「18金製おりん」の中で最大の商品は「4寸5分」の寸法で呼ばれるもの。その直径は135ミリと手のひらに収まるサイズながら、重量は1200グラム。18金製だけに片手で持とうとするとズシリとした重さに驚くほどです。価格は2966万9200円(その当時の価格。以下同様。)
黄金に輝くこの「おりん」を買えば「課税されるはずであった財産」のうち約3千万円が非課税の「祭祀財産」に変わりますので、その分相続税を節税できることになります。
しかし、ここで注意が必要なのは、相続した後にすぐ換金しようとした場合の価値がどうなるかです。金製品には、純粋な金としての価値に加工代などの金額がかなり上乗せされています。金製の仏像も同じことです。
販売価格が約3千万円として紹介した「18金製おりん」にしても、純金としての売却価格は、約1160万円にしかなりません。これだと相続税の最高税率55%を課税された方が財産が目減りしないことになります。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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