第1120話 遺留分請求

民法で定められた最低限の遺産を受け取る権利を遺留分といいます。配偶者・親・子が請求でき、親がいない場合は祖父母、子がすでに死んでいれば孫も遺留分を主張することができます。
遺留分を計算するうえで算定基礎となる金額には、相続が発生した時に残っていた遺産はもちろん、法定相続人への相続発生から10年前以内の贈与と、相続人以外への1年前以内の贈与も対象となります。
それでは、例えば「ビタ一文やらん」といわれた次男が遺留分を請求する場合、一番多くの財産を生前贈与によって受け取った長兄、遺言によって少額の遺産を受け取った三男、介護を請け負う代わりに死亡時に現金を受け取る約束をした長女、この3人からどのように遺留分を取り戻せばいいのでしょうか?
三男のように遺言で財産を受け取るのは「遺贈」、長兄のように生前に受け取るのは「生前贈与」、長女のように生前の贈与契約に基づいて死亡時に受け取る方法は「死因贈与」といいます。そして遺留分請求の順位は、①遺贈、②死因贈与、③生前贈与の順となります。
つまり次男は、まず遺贈で財産を受け継いだ弟に遺留分を請求しなければなりません。その結果、次男の請求により三男の取得分が遺留分にまで食い込んでしまうと、足りない分の請求先は次の順位である死因贈与で財産を受け取った長女に移ります。それでも充当できない場合になって初めて、生前贈与で受け取った長兄に遺留分請求がやってくるという流れになります。
なお、複数の生前贈与がある場合、相続発生から近いものから順番に遺留分請求の対象となります。
当事務所は、来年5日までお休みをいただきます。よいお正月をお迎えください。
文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所
所長 栁沼 隆
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