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 所得税のルールとして、親から使用貸借で借りた土地を、駐車場として子が第三者に貸す場合、その賃料は駐車場を行っている子ではなく、土地の所有者である親が申告しなければならないとされています。この理由は、土地の貸付けが基本的には不動産所得だからです。不動産所得は原則、不動産の所有者が所得を申告するとされていますので、駐車場業を営む子が賃料を管理するとしても、親が申告しなければなりません。

 仮に更地ではなく、その使用貸借の土地に子がアスファルト舗装した場合の取り扱いはどうでしょうか。消費税的においては、土地の貸付けは原則非課税ですが、アスファルト舗装された土地の貸付けは課税取引となります。

 しかし所得税法上の取り扱いは変わりません。なぜなら、アスファルトは土地に附合して切り離せないものであり、更地の駐車場と一緒の不動産所得となるからです。

 一方で、親が所有する土地を使用貸借して、子が立体駐車場を建築して貸した場合はどうでしょうか。立体駐車場は土地に附合するものではありませんので、この賃料においては、子が申告すれば問題ないと考えられます。

 しかしこの点、税務当局と争いになった事例があります。驚くことに税務当局は立体駐車場の一階部分だけを切り出して、一階部分は土地と附合するのでその部分の賃料は、親が申告すべきとして課税しました。

 立体駐車場の1階部分とそれ以外で賃料を按分するとなると、非常に煩雑ですし、常識的には一つの立体駐車場を貸しているにすぎません。実際、この事例の審査請求においても、こんな按分は不要とされています。そこで示された理屈ですが、1階部分は土地に附合しているのではなく、立体駐車場である建物に附合しているとして、建物の貸付けとしてその立体駐車場の所有者である子が申告すればいいとされた模様です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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