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 平成29年5月にスタートした法定相続情報証明制度は、全国に417ヵ所ある登記所のいずれかに被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍関係書類と、相続人全員分の本籍、住所、生年月日、続柄、法定相続分などの情報をそろえて一度提出すれば、偽造防止措置が施された法定相続情報の一覧図の写しが発行される制度です。

 以降の手続きは法務省の発行する写しを利用すれば、手続きのたびに全必要書類を提出しなくても済むようになります。多くの銀行では口座解約の際の書類として使うことも可能です。

 証明書には決まった書式などはなく、被相続人と法定相続人全員の関係が一目でわかるよう相続人自身が一覧図を作成し、それを法務局で確認してもらう形となります。この際、それぞれの住所は任意記載とされていますが、証明書を様々な手続きで利用していくことを考えれば、住所もあった方が便利でしょう。

 去年4月からは使い道がさらに広がり、相続税申告の際の添付書類としても使えるようになりました。ただし、注意したいのは、証明書に記載される被相続人と相続人の関係は「子」のような大まかなものでも構いませんが、こと税務申告の添付書類として使うためには、「子」ではなく、「長男」「長女」「養子」といった詳しい間柄を記載していないと利用できないということ。さらに証明書は戸籍謄本に基づいて内容の正しさを保証するものなので、戸籍のない、つまり日本国籍をもたない外国人などが関係者にいる時は、証明書を利用することは出来なくなります。また相続人の中に相続放棄をした人がいても、証明書の一覧図では他の人同様、通常の法定相続人として記載されてしまうため、そうしたケースでも証明書を使うことは出来ません。いろいろと便利な制度ですが、万能ではないということを頭に入れておかなければなりません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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