182c1ebcf18d2dc6775a14fca2d78bc7_s

 相続財産のなかでも大部分を占める「土地」は、原則的に相続税路線価に沿って評価されます。相続税路線価は、国土交通省が毎年発表する公示地価などを基に導き出された、いわば相続税の評価専用の査定額です。相場としては公示地価の8割程度といわれ、その公示地価も実売価格よりは低くなる傾向にありますので、土地につけられる相続税評価額は、実際に売却するときの価格よりは相当低くなると言っていいでしょう。

 しかし土地の評価については、相続人の税負担を大きく増加させかねない例外規定が設けられています。相続発生時点、つまり土地所有者が亡くなった時点で土地の売却が既に決まっているときには、土地の評価額を相続税路線価ではなく、契約上の売却価額に従って評価するという決まりがあるのです。この場合には、土地ではなく、土地の売却金額を請求する権利を相続するとみなされてしまうからです。

 実売価格に比べて相続税路線価は圧倒的に低くなります。つまり売買契約を結んだ段階で相続が発生しますと、同じ土地でありながら、税負担だけが跳ね上がる結果になるのです。

 土地の値段は短い間にも変動し、買い主がいつ現れるかも分からないため、売り時と判断した時に売るのが鉄則です。そのため、いつ発生するか分からない相続を理由に売却を控えるのは良い判断とは言えないかもしれません。しかし契約が成立してから実際の金銭授受が行われるまでの間に、もし相続が発生してしまいますと、思わぬ税負担が発生するリスクがあることは頭の片隅にでもとどめておいた方がいいでしょう。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。