我々税理士が、相続税申告書を作成する際、土地評価をするときに欠かせない資料として路線価があります。路線価とは、主要道路に面する宅地1平方メートル当たりの土地評価額をいい、毎年7月初めに国税庁において発表されます。
これに対して、毎年3月中旬に国土交通省において発表するものが「公示地価」といわれるものです。
この公示地価の80%程度の水準で路線価が決められますので、3月に発表された公示地価の動きと路線価の動きは基本的には変わりません。
財務省の資料によりますと、3大都市圏の商業地の公示地価は、昭和58年の価格水準を100とした場合、バブル期中の平成元年には230.3、最盛期の平成3年には336.8まで跳ね上がっていますが、平成22年には79.2まで下落しています。その後、地価は上昇傾向にあります。
特に仙台では、震災後、被災者の移転需要の高まりから、毎年地価は上昇しております。
一方、相続税の基礎控除額ですが、昭和50年に改正され、基礎控除額は、2,000万円+法定相続人の数×400万円となりました。この数値は、バブル初期の昭和62年まで続きました。
昭和63年の改正では、基礎控除額 4,000万円+法定相続人の数×800万円に引上げられ、さらに、地価高騰を追いかけるように、平成4年には 基礎控除額 4,800万円+法定相続人の数×950万円、平成6年には、今回の税制改正前の 基礎控除額 5,000万円+法定相続人の数×1,000万円までに引き上げられました。
財務省としては、基礎控除額の水準について、物価・地価水準が現在と同等であった時期、概ね昭和50年代半場に適用されていた水準と同等になるように設定したい、との思惑があったのでしょう。
近年、亡くなられた人のうち、相続税の課税対象になる人は4%に過ぎないといわれていましたが、それでも25人に1人が相続税の課税対象になっていました、
今回の改正後は、6%程度に増加することが見込まれています。つまり、課税対象者が、1.5倍になる計算です。