判例
第1070話 分割見込書
亡くなった人が住んでいた宅地の面積が一定以下であれば、相続税評価額を最大80%減額する「小規模宅地の特例」を適用できます。同特例を利用するには相続税の申告期限までに遺産が分割されていることが要件ですが、協議が整わず未分…
続きを読む第1067話 総則6項
税法上は合法であっても国税当局が税逃れとみなせば否認できる、いわゆる「総則6項」に関する裁判で、東京地方裁判所は1月18日、総則6項を適用した国税当局の主張を全面的に退ける判決を下しました。総則6項の適用を巡っては、2…
続きを読む第1066話 自民党裏金問題
元旦の能登半島地震を受け、被災地支援策の議論が急がれる中、国会は自民党派閥を巡るパーティー券問題で紛糾しています。ノルマを超えた売り上げの還流分が4000万円超の議員のみが立件される軟着陸となったためです。野党はこの裏…
続きを読む第1045話 借地権の認識
借地権とは建物の所有を目的とする土地の賃借権のことをいい、借地権が存在する土地は使用が制限されるなどの理由から、相続税を計算する際には自用地より低い価額で評価されます。では土地の上に建っている建物が賃借の当事者以外の所…
続きを読む第972話 税務署の事前相談の使い方
私は税務上の疑義につき、その解決のための明快な事例が書籍やデータベースになければ、税理士であっても税務署の見解を聞くべきであると考えています。 しかし当局では税理士の質問には原則として答えないとしており、税理士が税務…
続きを読む第968話 マイナスの遺産
相続財産は、預貯金や有価証券、又は不動産といったいわゆる「資産」と呼ばれるものだけで構成されていればありがたいのですが、ときに借金などの「負債」も一緒についてくることがあります。負債の方が資産よりも多ければ相続放棄とい…
続きを読む第961話 「生計を一にする」を理解しましょう
確定申告期限も間近になり、この時期はどこの会計事務所も繁忙を極めていることと思います。そこで所得税の確定申告書類の記載内容の中でも、特に曖昧で誤りが起きやすい「生計を一にする」の考え方について解説したいと思います。 …
続きを読む第956話 「混同」を利用した相続税対策
先日、とある相続税対策スキームについて、国税不服審判所で国税当局が負けた事例がありました。概要については ①相続人が被相続人に対し、建物を時価相当額で譲渡した上で ②売買代金は相続人が被相続人に貸付をする というもので…
続きを読む第954話 相続放棄
親の遺産よりも親から引き継ぐ借金の方が多かったときなどは、「相続放棄」をすることができます。ただし放棄するには、原則として相続の発生から3カ月以内に裁判所に届け出をしなければなりません。 では、もし借金があることを知…
続きを読む第953話 生命保険金の持ち戻し
生命保険金は「受取人固有の財産」と言われます。民法では生命保険金を請求する権利は相続財産から除外され、原則として遺産分割の対象となりません。保険金独自の非課税枠もあり、他の財産よりも優遇されることから、生命保険はオーナ…
続きを読む第936話 財産評価基本通達総則6項の適用事例(3)
第910話でも取り上げた最高裁における総則6項の適用を巡っての判決ですが、今回は下級審である東京高裁令和2年6月27日判決についてもっと掘り下げて考えてみたいと思います。 東京地裁令和元年8月27日判決は、被相続人が…
続きを読む第935話 財産評価基本通達総則6項の適用事例(2)
相続直前の借入金による土地取得により大幅な「超過借入金債務」により、借入金と評価通達の評価額との差額を生じさせ、他の相続財産の課税価格を減殺して多額な相続税の軽減を図った事例の東京地裁平成4年3月11日判決は、この事実…
続きを読む第934話 財産評価基本通達総則6項の適用事例(1)
相続税法は申告納税制度を採用していることから、納税者は相続又は贈与により取得した財産の時価を自ら評価し、申告・納税する必要がありますが、財産の種類は区々であり、しかも置かれた客観的状況がそれぞれ異なることから、その財産…
続きを読む第928話 「総則6項」にいう「著しく不適当」の本来の意味
税理士業界でも非常に大きな話題になりましたが、4月19日に行き過ぎた節税を否認した国税当局の課税処分を合法とした最高裁判決がありました。この判決は、国税が伝家の宝刀と言われる「評価通達総則6項」を使った事件に対するもの…
続きを読む第910話 総則6項
実勢価格と相続税路線価の乖離を利用した節税手法の是非を巡って納税者と国税当局が争った裁判で、最高裁は4月19日に、国税当局の言い分を全面的に認める判決を下しました。税法上は合法であっても当局が税逃れとみなせば否認できる…
続きを読む第880話 相続トラブル(5)
~不動産鑑定士による土地評価~ 請求人らが相続税の申告において、不動産鑑定士の鑑定評価等(本件鑑定評価等)に基づいて評価額を算定した土地及び建物については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法に拠ることのできな…
続きを読む第879話 相続トラブル(4)
~名義預金~ 原処分庁は、被相続人の子(P1)の配偶者(P5)名義の各預金及びP1とP5の子(P10)名義の各定期預金について、P5及びP10に当該各預貯金を形成する資力があったとは認められず、また、当該各預貯金の管理及…
続きを読む第878話 相続トラブル(3)
~息子名義で購入した車~ 原処分庁は、請求人の父が請求人の名義で新たに購入した車両は、相続税法基本通達(以下「相基通」という)9-9<財産の名義変更があった場合>により、原則として贈与として扱わ…
続きを読む第877話 相続トラブル(2)
~遺産分割ができる状態であるか否か~ 請求人等は、本件相続にかかる財産が本件相続にかかる申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税特別措置法施行令&l…
続きを読む第876話 相続トラブル(1)
資産家の最大の悩み事といえば相続です。遺産分割、事業承継とトラブルの種はいくらでもあるにもかかわらず、その税務処理を巡っては国税当局とトラブルになってはたまりません。そこで国税不服審判所が公表しています裁決事例より、事例…
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