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 「にわか生前贈与」はろくなことがないと前回では散々言いましたが、それでもなにかできる相続対策はないのかと探したくなるのが人情です。コロナでシビアなこのご時勢、誰だって余計な税金をびた一文たりとも払いたくありません。そんな皆様の胸の内に応えるべく、突然死しても節税できる生前贈与を考えてみたいと思います。

 

(1)孫への贈与

 にわか相続税対策として最も有効なのが孫への贈与です。相続人や受遺者でない孫や甥姪への贈与は、3年以内に贈与者が死亡しても相続財産への加算対象にはなりません。余命いくばくもない中での相続対策をするのなら、子ではなく孫へ贈与した方が得策です。

 

(2)住宅取得等資金の贈与税の非課税

 住宅資金等資金の贈与税の非課税制度を使って子や孫への新居購入やリフォームのための資金を贈与することも、にわか相続税対策となります。相続開始以前3年間の贈与であっても生前贈与加算の対象にならないからです。なお、この制度で贈与すると最大で1500万円まで非課税になります。受贈者の所得や購入物件の内容、契約時期や入居時期に細かい要件が付きますが、すべて満たすのなら節税対策になります。

 

(3)教育費のかかる世代への贈与で非課税適用

 前回、教育資金と結婚・子育てそれぞれの贈与税の非課税制度のデメリットをお伝えしましたが、教育資金の贈与税の非課税制度については、受贈者である子や孫が次のいずれかに該当するのなら贈与者の死亡時に使い残しがあっても相続税がかかりません。

①23歳未満である

②幼稚園や保育園、小中高、大学や大学院・大学校、専門学校や外国の学校に在学している

③教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けている

教育資金の非課税枠の上限は1500万円です。高校・大学受験や留学、大学院進学を来年控えている子や孫に対して、この制度を利用してまとまったお金を贈れば、相続税対策になるだけではなく家族から感謝されるでしょう。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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