152fc08b8a46f4765bf56b19ba2636fc_s

税務署の更正処分に不服がある納税者は、税務署に再調査を依頼するか、あるいは「国税不服審判所」の審査を受けて処分内容の変更を求めることができます。

2016年3月までは税務署の再調査を受けた後でなければ審判所の審査を受けられませんでしたが、当局に重大なミスがない限り再調査で処分内容が覆ることがほぼなかったこともあり、現在では納税者の利便性向上のために直接審査請求できるようになっています。

ただ審判所でも納税者の望み通りに処分内容が覆ることはほとんどありません。2020年度の審査の内、納税者の主張が全部認められたのは2.8%で、何らかの形で認められたものでも7.2%に過ぎませんでした。9割が取り下げ、却下、棄却のいずれか、つまり納税者の負けというわけです。

このような実態からよく言われる「国税職員が審判するのだから処分が変わるわけがない」という主張は、当たらずとも遠からず。

国税不服審判所は1970年に「国税庁の付属機関」としてスタートしております。現在は「特別の機関」とされ、国税処分に関する裁決権を国税当局の支配を受けずに行使するという点で独立した立場ですが、国税当局に設置される機関であることには変わりありません。当局以外の人材も審判に関わりますが、国税内部の異動で審判所配属になる方々も多くみられます。このことからも税務署の判断と異なる裁決は出にくい仕組みと言わざるを得ません。

ちなみに国税処分に関する裁判は、審判所の審査を経た後でなければ提訴できないことになっています。自分の主張が正しいと信じていても、処分の見直しを勝ち取るのは容易なことではありません。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。