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 卓球元日本代表の福原愛さんが、不倫相手の前妻から慰謝料請求訴訟を起こされました。仙台市生まれの愛さんは、卓球をはじめてからの小さい頃から、ずっと応援してきた方も多く、結婚やメダル獲得までは良かったものの、最近では離婚、不倫とスキャンダルが続いていました。

 ニュースによると、不貞行為に対する精神的苦痛として300万円、離婚に対する精神的苦痛として500万円など計1100万円の慰謝料を請求されているようです。

 こういった慰謝料を受け取ると、税金はどうなるのでしょうか。勉強してみましょう。

 慰謝料は精神的・肉体的な苦痛を受けたことを補填する性質を持った損害賠償です。浮気や不倫の相手だけではなく、離婚原因を作った元配偶者に対しても、同様に慰謝料を請求できます。原則として慰謝料には、税金は非課税扱いとなります。謝罪金や示談金、解決金など、他の名目で支払われていたとしても非課税となります。

 ところが慰謝料も例外的に課税されるケースがあります。まず、慰謝料が不相当に高額なパターンです。世間一般の相場からみて超過する部分が『贈与』として認定され、贈与税が課税される可能性があります。しかし慰謝料の世間相場も①離婚の事情、②離婚年数、③子供の有無、④相手の年収、⑤資産の状況、などにより変わってきます。

 それでも不貞行為や離婚に対する慰謝料の相場は、だいたい50万円から300万円程度と言われていますから、1000万円単位の慰謝料をもらった場合には、贈与税の申告を検討した方が良いでしょう。

 あと気を付けなければならないのが、現金ではなく自宅などの不動産を慰謝料代わりに受け取ったケースです。

 まず、もらう側の税務から考えてみます。不動産を受け取る時期が離婚成立前か後かで扱いが変わります。

 離婚前に自宅をもらい受け、その時点で夫婦の婚姻期間が20年を過ぎていれば、基礎控除とあわせて2110万円まで贈与税はかかりません。しかし、離婚成立後では、この配偶者控除は使えませんので、先ほどお話しした原則に則って、不動産の評価額が財産分与の範囲を著しく超えていますと、その超過分について贈与税の対象になる可能性があります。また配偶者控除はあくまで居住用不動産の税制なので、別荘や収益物件を慰謝料代わりとして受け取ると、控除対象外なので注意が必要です。

 片や不動産を慰謝料代わりに渡した方の税金は、税務上は、夫は不動産を売却して現金を得たものと考え、その現金で妻に対する慰謝料債務の支払いを履行したものとみなされます。よって夫には譲渡所得が発生します。ただし、自宅であれば、3000万円まで控除できる特例措置を使えます。この特例措置は夫婦間には適用できませんので、離婚成立後に渡すのがポイントとなります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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