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 今回の改正の趣旨としては、この家なき子特例を本来の趣旨とは異なる活用方法が散見されるようになったため特例対象者を絞ったと考えられます。
 どういうことかというと、持ち家のある相続人が、形式的にその持ち家を親族などに売却し、そのままその親族名義の家に住み続けることにより、自身を家なき子に該当させ、特例適用後にその親族から持ち家を買い戻すような場合です。
 家なき子特例は、本当に持ち家がない相続人が被相続人の居住用宅地を相続することにより将来的にそこに引っ越してその宅地を守っていくことを本来の趣旨としていますので、元々持ち家がある相続人が被相続人の居住用宅地を相続しても、その相続人は持ち家があるため被相続人の居住用宅地に引っ越したりはしないでしょう。形式面だけ持ち家がない相続人になるのは本来の趣旨を考えると本末転倒なのです。
 このような、節税スキームを封じるために今回の改正が実現しました。

 この改正は、平成30年4月1日以後の相続開始案件から適用されていますが、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの相続又は遺贈において,平成30年3月31日時点に相続又は遺贈があったものとした場合に現行改正前要件を満たすことになる宅地等については,家なき子特例を適用できることとなっております。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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