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 面倒な遺産分割も終わり、払いたくもない相続税の申告を済ませ、ほっと一息ついたときに、タンスの奥から申告時には気づかなかった預金通帳が出てきました。相続人である自分の名義であるところを見ると、親が子供のためにと考えて貯めておいてくれたものでしょう。既に申告を済ませた後なので、遺族としてはちょっとしたお年玉のような気持になり、いまさらながら亡き親に感謝するかもしれません。

 ですがこれはれっきとした相続財産であり、税額訂正の手続きをしないでおくと過少申告税の加算対象になるものです。たとえ口座名義が自分であっても、親が保管しており、さらにその預金の存在さえも知らなかったのでは、子供の固有資産とはみなされず、相続財産として課税対象となります。そのため、申告した納税額よりも税額が増えることがわかった時は、修正申告という手続きで税額を訂正し、正しい税額を納めなくてはなりません。

 このとき、仮に黙っていても税務署に知られることはないだろうと考える人もいるかもしれませんが、残念ながら税務調査の対象となればほぼ確実にバレると考えておいた方がいいでしょう。こうした名義預金は税務調査官が常に目を光らせているところであり、さらに日本の金融機関の情報は当局によって丸裸にされていることを考えれば隠すことのリスクは大きいでしょう。

 この場合、自主的に修正申告しなかったときのペナルティーですが、2016年までは税務署から調査に入る旨の事前の通知を受けたとしても、調査が始まるまでに急いで修正申告すれば加算税は不要でした。しかし今は、調査の事前通知を受けた後に修正申告をすると、新たに納める税金の5%の加算税に加え、「元々の納付税額」と50万円のうちいずれか多い金額を超えた部分に10%が加算されるのでかなりの負担になります。

 お年玉だと思っていた財産が、とんだ落とし穴になることもあります。税務署の目をごまかすのは想像以上に難しいと言えそうです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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