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 死ぬまで自分の世話を見てほしいと思う相手に対し、「君に財産を遺すように遺言に書いておいたよ。だから最後まで私の世話を頼むね。」と言ったところで、遺言書は書いた人の気分でいつでも変更ができるため、相手としては死後に遺言書を確認するまで安心はできないでしょう。そんな不安を解消するための制度が「死因贈与」と呼ばれるものです。

 この死因贈与は、贈与する者と贈与を受ける者との間の契約で、両者の同意によって成立します。類似の制度に遺贈がありますが、遺贈は遺言書によって被相続人が指定した者に対して財産贈与の意思を表示するもので、遺す側の一方的な行為であることが死因贈与と大きく異なります。贈与の代償として相手の生活の面倒を看るなどの義務や負担を課す「負担付死因贈与」にすることで、お互いの約束として確認しあうことが可能となります。遺贈規定の準用であるため基本的には約束の撤回もできますが、「負担付」にすることで撤回は難しいとされています。

 また死因贈与と遺贈とでは税負担の面でも異なります。双方とも、相続が発生して不動産の名義を相続人に変更する際には、登録免許税と不動産取得税がかかりますが、それぞれの税率は遺贈の登録免許税が固定資産税評価額の0.4%(法定相続人以外は2%)であるのに対して、死因贈与は一律4%です。不動産取得税では、遺贈が非課税(法定相続人以外は4%)であるのに対して、死因贈与はこれも一律4%とかなりお高くなっています。税金だけを考えれば遺贈の方が得となります。ちなみに相続税の申告期限までに国や地方自治体、特定公益法人に財産を寄付すると、その財産は相続税の課税対象財産から外れ、課税されません。

 なお、遺贈は15歳以上であれば単独で行えますが、死因贈与はあくまでも「契約」という法律行為ですので、未成年者は親権者などの法定代理人の同意を得る必要があります。ただし、単に贈与を受ける行為であれば未成年者でも可能となります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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