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 アパート用地や駐車場などの貸付事業用宅地の相続税評価額を減額する特例(小規模宅地特例)について、今年4月以降は相続前の3年以内に賃貸を開始した不動産については原則として適用できなくなっています。今後は相続の直前に貸付事業を始めるいわゆる「にわか大家」には税負担を軽減する小規模宅地特例を適用できません。

 小規模宅地特例は宅地の相続税評価額を最大8割減額できる制度で、被相続人の住んでいた家や貸付事業用の建物などを引き継いだ相続人が利用できます。貸付事業用の宅地で利用するには、相続人が貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、その期限まで事業を続ける必要があります。以前は被相続人が貸付事業を始めた時期に関する条件は設けられていなかったので、相続の直前に貸付事業を開始して特例の対象とする節税策が使われてきました。

 この節税策を封じるため、2018年度の税制改正で相続開始前の3年以内に貸付事業を始めた不動産を対象外とする「3年縛り」のルールが新たに設けられました。新たな規定の経過措置として、2018年4月1日より前に貸し始めた不動産であれば事業開始から3年以内の不動産でも特例の対象とすることができましたが、今年3月31日をもって経過措置は終了しております。

 なお貸付事業以外の事業で使う宅地についても、一定の条件に当てはまる事業の宅地は3年縛りの対象となりますが、事業を開始していたのであれば、来年3月31日までに相続が発生した場合には経過措置によって特例を適用できます。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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