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 法律上日本ではペットはモノとして扱われるため、遺産を相続させることは出来ません。たとえ遺言を残したとしても、それが法律上の効果を持つことはないのです。

 しかし、ペットの面倒を看てもらうことを条件として財産を譲ることは出来ます。

 ここでは自分の死後にペットを守る方法について考えてみましょう。

 まずはペットの面倒を前提にした「負担付遺贈」の遺言です。気を付けるべきことは、相手は断ることができることです。そのため生前において確認をしっかりとらなければなりません。そして面倒を看る約束をしても本当に実行しているか、遺言執行者により確認させる必要もあります。

 2つ目の方法としては、委託するものの死亡により効力を生ずる負担付死因贈与という方法があります。これは双方の合意に基づく契約のため、原則として一方からの取り消しや破棄をすることは出来ません。こちらも死後に約束が実行されるかどうかは、執行者を負担付死因贈与契約に記したうえで、執行者に定期的に確認してもらうようにした方が良いでしょう。

 そして最後に、委託者が受託者に財産を預け、ペットのために遺産を管理・運用させる遺言信託という方法があります。受託者には信託銀行などがなる事が多いですが、ペットの世話を信託銀行が行うことはありません。大抵は遺言で実際にペットの世話をするものを指定しておき、信託銀行はこの人にペットの飼育にかかる費用や謝礼などを定期的に渡すことになります。

 実際にはこの他にも、受益者を定めずに、ペットの飼育と残った遺産の使用目的を定める「目的信託」という制度もあります。ペットを世話する人を委託者が直接指定するのではなく、信託管理人を指定して、信託管理人に誰にペットの飼育を依頼するかを一任する仕組みになっています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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