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 生命保険料控除や損害保険料控除といえば年末調整や確定申告での定番の所得控除ですが、同じ保険とはいえ生命保険と火災保険では、課税関係において以て非なる部分が多くみられます。

 例えば生命保険金の受け取りは、満期到来時と死亡を原因とするときがありますが、どちらのときでも保険料の負担者が保険金受取人であれば所得税の課税対象となります。一方、保険料負担者と保険金受取人が異なり、保険料負担者が生きているときは贈与税の課税対象となります。また保険料負担者が死亡したことによって保険金が支払われるときには相続税がかかります。

 一方の火災保険では、妻が所有する居宅の火災保険料を夫が負担していて、火災により妻が保険金を受け取ったときでも、受領した火災保険金は贈与税の対象にはなりません。相続税や贈与税の対象になる損害保険金は死亡を原因として支払われるものに限られているからです。さらに所得税についても、失った財産を保険金でカバーしただけという考えにより、非課税扱いとなります。

 ちなみに居宅が焼失した時には、妻の所得が38万円以下であれば夫は雑損控除の適用を受けることができます。ただし損失金額の計算に当たっては、妻が受領した火災保険金を差し引く必要があります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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