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 相続財産の内、取引価格が公開されている上場株式は時価が明確であるため、相続税評価額の算定に専門的な知識はいりません。ただし上場株式の価格は毎日変動しているので、いつの時点の価格を評価額とするかという点は問題になりやすいポイントになります。

 税法では、相続した上場株式の評価の時期は、他の財産同様、原則として被相続人の死亡日の最終価格(終値)で判断することになっています。 

 ただし

①死亡した月の毎日の終値の平均額

②死亡した月の前月の毎日の終値の平均額

③死亡した月の前々月の毎日の終値の平均額

の3つも併せて考慮し、死亡日の終値が①~③のうち最も低い価格を超えているとき

は、最も低い価格を相続税評価額とすることができます。上場株式はストップ高やストップ安があれば1日で大きく動くために、4つの終値は相当の差が出やすいため、このような救済措置が設けられています。

 もっとも、これらの①~③を使ったとしても、値動きの大きい株式ならば一時的な高騰や下落が相続税評価額に影響を与えてしまいます。そうした事情を踏まえ、金融庁などは毎年の税制改正要望で「他の価格変動リスクが小さい資産に比べ、相続税評価額の扱いが不利」として、非上場株式と同様に死亡前年の年平均株価も選べるようにすべきと主張していますが、実現見通しは今のところ立っていません。

 なお、上場株式の相続税評価額の算定に使う「終値」とは、午後3時の取引終了時点の価格を言います。相続開始日に証券取引所が休みであれば、相続開始日に最も近い日の終値を使います。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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