bb6424ce7a3f288ed20b37ba35001bf5_m

  相続税対策と言えば財産贈与や現金の不動産化など、生前に行う対策がほとんどです。相続が発生した後には、有利な特例を忘れずに利用することくらいで、新たに講じることが可能な節税策はあまりありません。

 しかし限られた事後対策の中でも大きな節税対策も見込めるのが、土地の分け方を工夫することです。

 道路に面している部分が20mの土地の相続税評価額が1億2千万円だとします。相続人が2人としたときに、1つの土地を複数に分ける「分筆」により、200㎡ずつ分け合うことになったとしたら、通常だと道路部分10m奥行20mの土地ごとに分筆することになるでしょう。このケースでは、それぞれの土地の相続税評価額は6千万円ということになります。

 しかし、例えば1つの土地を道路部分16m×奥行12.5mの宅地とすると、残りの土地はL字型のいわゆる「旗竿地」となり、その土地は間口が狭まるので1割程度減額されることになります(減額率は形状や用途地域により変動)。そうすると四角の土地の評価額は通常の分け方と同様に6千万円ですが、旗竿地は減価率が1割だとすると5400万円となり、土地全体で600万円も財産評価額を減らせることになります。f

分筆で評価額を減らすコツは、宅地として使いやすい四角の土地だけではなく、使い勝っての悪い不整形地をつくることです。ただし、道路に接していない土地や三角形の土地、接道義務を満たしていない間口距離の土地など宅地として通常使えない土地を分筆しで生じさせますと、単に相続税の節税だけを目的とした不合理な分割と税務署に判断され、評価減が認められないことがありますので注意してください。

 当然、分筆する際には、費用がかかりますが、規模と立地にもよりますが、通常宅地であれば おおよそ50万~100万程度と思われます。この経費を鑑みると、本来は相続が発生する前に、分筆はしておいた方が、相続総額が分筆に関わる経費の分は軽減できるため節税にはなります。相続発生後にかかる分筆費用は、相続税対策にはなりませんが、分筆後すぐに土地を売却した場合、つまり売却するために分筆した場合は、その年の所得税対策になる可能性はありますので、税理士にご相談ください。

 

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。