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 地方税で先行して始まったクレジットカード納税が国税でもできるようになったのは2017年からです。それ以降、国税のクレカ納付の利用は徐々に増え、2019年時点では国税の25.6%がクレカを含むキャッシュレス形式で納付されました。とはいえ、いまだ3/4は紙の納付書を銀行や税務署に持っていく「現金納付」です。

 クレカ納付はわざわざ金融機関などに足を運ばなくてもインターネット上で税金が納付でき、ダイレクト納付や振替納税といった他の方法に比べても手続きが簡単なことが特徴です。専用のホームページから税金の種類や金額、クレカ情報を入力するだけで手続きが完結する点は、他の納付方法にはない手軽さとなっています。

 手軽さに加えて、クレカ納付の特徴はクレカならではの「ポイント」が付くことです。相続税や法人税では税額が100万円を超えることも珍しくないため、複数の税額をクレカで納めれば、それだけで1年分の取得ポイントが数十万円分になる可能性があります。

 この時に注意したいのがカードの決済手数料で、国税のクレカ納税では税額1万円ごとに76円(それ未満でも76円)の手数料がかかります。率にすると0.76%になるので、それを超えるポイント還元率のついたカードならば得をしますが、それ以下だと逆に手数料で損をすることになります。一般的なクレカの還元率は0.5%ともいわれていますので、条件を満たすカードは意外に少ないのかもしれません。

 そしてクレカ納税の抱えるもう一つのリスクとして、悪意のある不正アクセスなどによる情報漏洩があります。過去には都税のクレカ納税サイトから70万件の個人情報が流出するという事件もあり、今後さらに大規模な情報流出が起きる可能性もゼロではありません。

 最後に分割払いやリボルビング払いは金利や別途手数料によって損をする可能性が高まります。そもそも一括納付できないような額をクレジットカードで納めるべきではないしょう。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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