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  様々な凶悪犯罪に手を染めながら、他ならぬ脱税で裁かれた最も有名な人間と言えば、禁酒法時代のアメリカの裏社会に君臨した「暗黒街の帝王」ことアル・カポネでしょう。

 1899年にニューヨークの下町で生まれたカポネは、若くして裏社会に身を投じ、禁酒法下のシカゴで酒の密造を行い、頭角を現していきます。対立するライバルを殺すことで己の地位を固めたカポネは、数年のうちにシカゴのギャングのトップに躍り出ます。

 カポネの関与した暴力犯罪で最も有名な「バレンタインデーの虐殺」では、抗争を繰り広げていたギャングのグループを、パトカーを使い警察官の扮装をして相手を無力化。壁に向かって立たせた無抵抗の7人をサブマシンガンやショットガンで虐殺します。

 市民からの訴えを受けた警察は、一度は武器不法所持でカポネを収監しますが、9カ月で出所します。獄中でも一般の囚人とは異なる特別待遇がとられ、カポネの権勢には傷一つ付けられませんでした。

 しかし、状況を逆転させたのが脱税容疑です。カポネ専従の捜査チーム「アンタッチャブル」によって脱税で摘発されたカポネは、「今度こそカポネを檻の中へ」の世論に後通しされた陪審員によって懲役11年の有罪判決を受けます。

 結局カポネは8年で刑務所を出ることになりますが、獄中で梅毒が悪化したカポネには往年の聡明さは見る影もなく、現実と妄想の区別も付かなくなっていました。孤独な療養生活を数年送った後、脳卒中に伴う肺炎によってこの世を去ります。酒税法違反や数々の暴力犯罪に関与した帝王カポネを最後に追い詰めたのは「税」でした。国家の持つ徴税権力の大きさをまさに浮き彫りにしたケースです。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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