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火災現場で消防職員や警察官とともに、火消しや交通整理など「共助」の役割を果たしている地域の消防団員を巡って、公金の横領や水増し請求の他、消防活動をしていないのに報酬などを受け取る不正受給が後を絶ちません。本来とは異なる趣旨で血税が使われ、不正の温床になっているため、国や自治体もようやく対策に動き始めました。

主に消防署に勤務する地方公務員の消防職員とは違い、消防団員は特別職の地方公務員です。入退団は自由で、団員の本業は公務員や経営者、元消防職員などさまざまです。団員に支払われるのは、給料にあたる報酬(年36,000円)と、消防活動や訓練などに参加した際に支給される出動報酬(1回8,000円)の2種類で、自治体が条例で定めて支払っています。
この公金は一部の団で飲み会や研修名目の慰安旅行、コンパニオンの派遣代に使われ、活動実態のない「幽霊消防団員」を架空出勤させて得た報酬をその代金に充てていました。横領事件に発展するケースもある一方で、消防団は政治との関係も深く、与野党問わず票田となっています。自治体職員がメスを入れようにも思うように進まない事情があります。
ただ担い手不足は深刻でこの10年間、消防団員は毎年1万人前後で減り続け、現在は約60年前から半減となる約80万人に落ち込んでいます。少子高齢化の影響に加え、個人に支払うべき報酬、手当てが回収させられていることも一因となっています。
総務省は2021年と今年4月の計2回にわたって調査を実施しましたが、出動報酬を団員個人に直接支給する自治体は約4割から約7割に向上しましたが、振込口座の通帳やキャッシュカードを回収する例も起きていて、実態は不透明です。
「共助」の担い手として欠かせない消防団の運営は岐路を迎えています。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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