202

 土地建物を一括購入した時の消費税の計算では、その按分が問題になることがあります。土地は消費税が非課税である反面、建物は課税対象です。支払った消費税は消費税の計算上控除できますので、一括購入の場合は、建物部分の消費税を計算する必要があります。ただし契約書上で按分の内訳がなされていない場合は合理的に按分することになります。

 この「合理的」という基準ですが、税務では原則として時価を意味します。問題になるのは何をもって時価とするかということです。裁判例では、建物と土地の按分は固定資産税評価額でやるように判断されることがほとんどです。ところが先日の裁判では、固定資産税評価額ではなく、鑑定評価での按分も合理的であるとして認められました。とりわけ、この事例においては鑑定評価額の按分のほうが固定資産税評価額よりも建物の金額が大きく計算されたため、支払った消費税額も大きくなり、納税者に有利になりました。

 鑑定評価は不動産鑑定士によってかなり異なることが通例です。中には、顧客の意向を踏まえ、違法にならない範囲で顧客に有利な鑑定評価を出してくれることもあるそうです。となると、鑑定士とうまく連携をとれば、建物の金額を大きくしてもらって有利な消費税の計算ができる可能性もあるわけです。もちろんやりすぎますと当局ににらまれますので、適正だと認めさせる交渉力も必要になります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。