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 皆さんに質問です。この税務処理は正しいでしょうか?

 被相続人である親が、死亡する1年前に銀行から資金を借り入れて墓を350万円で購入したとします。その後相続が開始。墓の購入のための借入金の内、220万円の残高があったため、相続人である子は、相続税申告書の「債務及び葬式費用の明細書」の欄にその借入金残高を記入しました。

 この税務処理は、間違えです。

 墓石や墓地は祖先崇拝の慣習に基づいて所有するものであり、換金するような財産ではないため、相続税の課税対象から外されています。そしてその財産に関する債務は、相続税の計算上で債務として差し引くことができません。お墓は、相続税の非課税財産であるので、その借入金については債務として相続財産から差し引くことはできないのです。

 墓のほかにも、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしているものも、相続税法上で非課税財産とされます。生前に購入しておけば、相続財産を大幅に減らせますので、財産圧縮の有効な一手になり得ますが、金銭を借り入れてまでの購入には節税効果は期待できません。逆に仏具等の礼拝物に骨董的な価値があると投資の対象または販売商品とみなされ、相続税の課税対象になってしまいます。高級な礼拝物を持っている人は注意が必要です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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