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 国税当局用語といえば、なんといっても「マルサ」が有名です。故伊丹十三監督の映画『マルサの女』がきっかけで、マルサ=国税査察部という隠語が、一般的にも知られるようになりました。そうなると、もはや隠語には使えませんので、今では「ロッカイ」という隠語が使われています。これは以前の東京国税局査察部が庁舎の6階にあったからだそうです。

 ほかにも「マルゲン」は源泉所得税、「マルケシ」又は「ケシ」は消費税、「サンズイ」は法人税・法人税部門、「ニスイ」は相続税や贈与税などの資産税、「トコロ」は所得税を意味します。例えば職員同士の会話で「お前のお得意はニスイだっけか、それともトコロ?」という具合に使われています。

 まだまだあります。総務課は「イトヘン」、徴収部門は「ギョウニンベン」、国税局の調査部のことは「ゴンベン」、資産税課税部門は「サン」、国税局資料調査課は「リョウチョウ」又は「コメ」ともいいます。

 税務署長は「オヤジ」、副所長は「サブ」といいます。オヤジとサブが出かけたといえば、税務署長と副所長がいないことになります。

 このように隠語が多いのは、当局職員の職場の話は、一般人に聞かれては困ることもあるからでしょう。特に飲み屋では気が緩むので、職員同士の会話では隠語だらけになります。

 大きな税務署にいて大口案件を扱う副所長クラスの役職「トッカン」。これには「特別国税徴収官」「特別国税調査官」「特別国税査察官」があり、トッカンの次が、通常の規模の案件を取り仕切る「トウカツ」又は「トウサン」。統括国税調査官、統括国税徴収官などです。その下には「ジョウセキ」又は「ウワサン」と呼ばれる上席国税調査官・徴収官がいます。

 隠語は飲みの席で一般企業っぽく聞こえるように進化しています。

 財務省は「オカミ」、国税庁は「チョウ」、国税局は「本店」、税務署は「支店」といいます。

 財務省から降りてくるエリートは「省キャリ」又は「一番」といわれ、国税庁キャリアは「二番」、実施部門担当の査察部次長であるノンキャリが「三番」といわれています。

 まだまだ隠語はありますが、国税の世界は縦社会なのが隠語でもよくわかります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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