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同性カップルの婚姻を認めない民法の規定は憲法に違反するかが争われていた裁判で、名古屋地裁は5月30日、「憲法14条に定める法の下の平等に反する」との判決を言い渡しました。2年前の令和3年3月に札幌地裁で「合理的な根拠を欠いた差別的扱い」と法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断が示されて以降2件目の違憲判断となります。

これまで同じ趣旨の裁判に関する判決は4件あり、昨年6月の大阪地裁では同性婚が認められていない現状を「憲法には違反しない」とし、11月の東京地裁も同性パートナーと家族になる制度がないことについては違憲状態にあるとしつつも、婚姻を認めないことについては「違憲とはならない」としていました。

今回の名古屋地裁の判決では、国内外で同性カップルへの理解が広がっている現状を重視し、同性カップルを公に認める制度の創設など海外の動きを列挙しましたが、確かに世界に目を向けるとG7で同性婚が認められていないのは日本だけになっています。

国側の主張は、前述の札幌地裁での裁判で憲法24条の「両性は男女を表し、憲法は同性婚を想定していない」と主張し棄却を求め、今回の裁判でも「婚姻制度の目的は、夫婦が子を産み育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与えるものだ」として、同性婚を認めないことは差別にはあたらないと反論していました。そのため違憲とした裁判については、国側が控訴して争われる可能性があり、現時点で判断はできません。

今後、もしも同性婚が認められた場合には、民法や戸籍法、税法や社会保険諸法令など多くの法律の変更が必要になるでしょう。遺産相続について考えてみると、現行法では同性カップルについては正式な婚姻と認められていないため、同性の相手方に遺産を相続させるには遺言書で明記するか、養子縁組をして相続権を発生させることが必要になります。

ハラスメントにおいても、性自認へのハラスメントである「ソジハラ」の予防の必要がいわれており、これらに関する判断や変更については注視が必要です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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