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法人税法や所得税法には、個別に罰則規定が定められていますが、すべて刑罰を科しています。よって本来的には、租税犯の捜査は刑事訴訟法の規定に従って、検察官などの捜査機関が捜査し、裁判で審理すべきものでしょう。

 しかし国税犯則事件の調査には、税法の専門知識が必要で、証拠収集にも特別な経験と知識が必要なことから、日頃国税の調査を行い、課税物件や納税義務者に接触している税務職員にあたらせた方が効率的であることから、査察制度が設けられています。

 マルサは告発を目的として、告発によって刑事訴訟手続きに直結する為、脱税の首謀者は誰なのかを解明するとともに、真相や厳密な脱税額を明らかにすることが求められています。ですので、税務調査でみられるような話し合いで脱税額が決まるようなことはありません。

 税務調査では「マルサに入られると単なる税金だけでは済みませんよ」と半場脅され修正申告を余儀なく迫る調査官もおり、まるで「張り子の虎のマルサの影」をちらつかせているかのようです。

 つまり納税者からすれば、マルサに入られて刑事罰を食らうよりは、少し余計に税金を払ってでも、調査を終わらせたいと考えて、仕方なく修正申告に応じることがあるということです。

 しかし、マルサの段階に入ってしまいますとこうはいきません。脱税額が量刑を左右しますので、証拠を集めて脱税額を1円単位まで正確に確定しなければならないので時間がかかります。

 また、刑事訴訟法では犯罪行為の意図によって大きく刑事罰が変わります。例えば人を死に至らせた場合、殺すつもりであったのか、そうでなかったのかによって量刑が大きく異なります。よってマルサでは「脱税の意図」が大きな問題となることになります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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