9fa7decdff4a5cc4257aebef6dc6e4c8_s

 相続が発生したとき、遺言書がなければ原則として相続人全員で協議して、誰が何を相続するかを決めることになります。この協議を遺産分割協議というのですが、これには4つの種類があります。

 まず、最もポピュラーなのが「現物分割」です。遺産を物理的に各相続人で分ける方法で、長男が自宅、次男が預金、三男が別荘などと話し合いで自由に決めることになります。

 ですが現実の相続ではなかなかうまく決めることができない場合も多くみられます。例えば遺産が自宅しかないような場合に採用されるのが、「代償分割」と呼ばれる方法です。自宅を相続した長男が次男に代償分として現金を渡すような方法です。このとき長男が渡すのは現金に限らず、自分の所有する不動産や株式などでも構いません。ただし、現金以外の不動産や株式で代償した場合は、それらを売却したものとして所得税や住民税が課せられます。

 代償分割が使われるのはこれ以外に、高額な絵画や骨董などの遺産がある場合にも使われます。なお、代償分割で渡す現金の支払い方法は、分割払いでも可能ですが、その後、支払い不能のリスクを負うことは視野に入れておかなければなりません。

 遺産分割の3つ目は、遺産を相続せず、相続人が同意したうえで売却し、その換金を相続人で分ける「換価分割」という制度です。遺産の中に自宅があっても全ての相続人に持ち家がある場合などに利用されます。これ以外にも、愛着のない高額な絵画や骨董などを相続した場合や他の相続人に代償分割としての現金を渡す能力がないときなどにも使えます。これも財産売却時に譲渡所得税がかかりますので注意してください。

 そして最後の4つ目に「共有分割」という方法があります。遺産を共有で相続するもので、別荘や大規模マンションなどを長男と次男で1/2ずつ共有財産とするなどの方法です。このほか、遺産分割協議がまとまらないときに、とりあえず決断を先延ばしにするために行われることもあります。

 これら4種類の方法は、相続人が話し合って任意に選ぶことができます。またある財産には代償分割を使い、別の財産には換価分割を使うなどの複数の方法を組み合わせて使うことも可能です。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

「所長の独り言」一覧はこちら

 

免責
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。また、本記事を参考にして訴訟等行為に及んでも当事務所は一切関係がありませんので当事務所の名前等使用なさらぬようお願い申し上げます。