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 2020年度の税収が約60.8兆円で過去最高になっています。新型コロナウィルスの影響で景気が悪化し、個人消費も低迷している一方、税収への影響は限定的であった様です。

 これまでの税収の最高額は2018年度の約60.4兆円で、2019年度は米中貿易摩擦による世界経済の減速に加え、年度末になってコロナショックが本格化したことで58.4兆円にとどまっていました。

 2020年度は度重なる緊急事態宣言の発令などで個人消費などの落ち込みが大きく、通年の実質GDPも前年度比4.6%減と戦後最悪のマイナス成長でしたが、法人税と消費税の増収幅が特に大きく、税収全体を押し上げた結果です。

 法人税増収の要因について財務省は「コロナ過で一部業種では企業収益が大幅に減少する厳しい状況になったものの、『巣ごもり需要』の堅調さや株高を背景に好調な業種もあり下支えした」と説明しています。

 また、コロナの影響を大きく受けたのが飲食や宿泊などのサービス業が中心であったことが、その理由として挙げられます。サービス業は中小が多く、コロナ前から法人税を納めていない企業割合が高くなります。国税庁の「会社標本調査」に基づきますと、コロナの影響がない2018年度の「料理飲食宿泊業」の法人税額は全体の1.3%に過ぎません。このため、法人税の税収全体に与えた影響は限定的であったとみられます。2020年度後半は、中国や米国などの景気回復により自動車などの輸出が堅調でした。こうした大企業の製造業を中心とした業績回復が法人税の増収に大きく寄与した形です。

 消費税の増収は、2019年10月に税率が引き上げられた影響によるものです。個人消費は低迷しましたが、増税の影響はそれを上回りました。ここ10年ほどで消費税率が引き上げられる一方で法人税率が引き下げられたため、税収は景気悪化への耐性が増しつつあります。

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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