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 遺言は大変重要な書類ですが、その内容が実現されなければ意味を持ちません。遺言が効力を生じた後に遺言の内容を実現するためには手続きが必要とされますが、遺言が効力を生じた時には、既に遺言者は存在しないので、遺言者に代わって遺言内容を実現する者が必要となります。それが「遺言執行者」です。多くは遺言で指定された人が就任します。遺言で必ず指定する必要はありませんが、遺言で定めておいた方が良いでしょう。

 そうすれば相続手続きが円滑に進みます。遺言執行者は相続人の中で反対者がいても名義変更の手続きを執行者の権限で行うことができます。相続手続きは財産の種類に応じて通常いろいろな添付書類が必要となりますが、相続人がそれぞれ手続きをする場合は各人が添付書類を用意する必要があり意外と大変です。その点、遺言執行者が行えば、何をしたらいいのか分からない相続人は大きな手間が省けます。

 遺言執行者とは、遺言を執行する者であり、遺言の執行とは遺言の内容を実現することであり、遺言に基づき移転された権利の実現に関連して必要となる事務を行うことです。

 遺贈を受ける人が相続人と疎遠でも、遺言執行者がいるとスムーズに事が進みます。

 遺言による遺言執行者の指定がない場合など、遺言執行者がいない、又はなくなったときは、利害関係人(相続人、受遺者、遺言者の債権者等)は、家庭裁判所に遺言執行者選任の審判を申立て、遺言執行者を選任してもらうことができます。(民法1010条)

文責 仙台市で相続税に特化した税理士事務所|栁沼隆 税理士事務所

所長 栁沼  隆

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